「長期金利」と「株価」の相関から見えてくるものは・・・?
こんにちは!
昨日の記事の中で「世界的に長期金利が低下してきました」というお話をしましたが、今日は長期金利と株価の相関について取り上げてみました。
今後、懸念される景気後退を読む上で、参考になると思ったからです。
この情報は、2月22日放送のテレ東「日経プラス10」で放映された内容から引用していますので、ご覧になった方も多いかもしれません。
下のグラフは、NYダウと長期金利の2018年からの動きを示しています。
株価の動きに対して多少の遅効性を見せていますが、ほぼ似たような動きになっています。
つまり、一般的には景気がいいと金利は上昇します。
ところが、今年に入ってからはちょっと違った動きが出てきています。
株価が上昇しているにもかかわらず、長期金利が低下し続けています。
長期金利は昨年10月9日の高値3.24%から11月29日の3.026%を最後に3%を切って低下していきましたが、年明けの株価回復にあわせて金利も上昇に入りました。
しかし、1月18日に2.78%をつけて以降株価の上昇に反して再び金利は下落、2月22日には2.682%まで下落しました。
これは、金利は足元の景気指標の悪化を見て低下しており、株価は米中貿易協議の進展など政策動向を読んで上昇していることを表していますが、どちらが正しいのかは、やがて審判が下ることになると思います。
現在の状況を表すと
◆ 株価はよい経済政策を期待して上昇
◆ 金利は実態を反映して下落
米中貿易協議に続く次なる経済政策を上手く打つことができるかが、次の一手につながるカギになりそうですね。
過去に金利が低下しても株価が上昇し続けたケースがあります。
それが下の表です。
2013年の中頃から2016年までがその期間になります。
何が原因でしょうか・・・・・・・?
FRBのイエレン議長による第3弾の金融緩和(2012年9月~2014年10月)の実施でした。
それにより米国債などの保有資産は金融危機(リーマンショック)前の9千億ドルから5倍の4.5兆ドルに膨らみました。(下の表です)
このように金利が低下しても株価が上がり続けるのは、金融緩和によって潤沢な資金が市場に流れるため、その資金は株式だけでなく債券にも流れ逆相関のチャート図が生まれます。
今回の金利と株価の逆相関は金融緩和が終了して利上げ局面に入って起きているため
このまま金利が上がらずに、FRBが利上げを恐れて取止めたとしても、現在の長短金利差の0.15%は更に縮小して、ややもすれば長短金利の逆転(逆イールド)を発生するかもしれません。
もし長短金利が逆転すると、下のグラフにあるように、ある期間を経て景気後退を迎えます。
上のグラフに長短金利差がマイナスになったのは1985年以降に3回あり、いづれもその後半年から一年程後に大きな景気後退が訪れています。
一回目は1987年の「ブラックマンデー」を示しています。
二回目は2001年の「ITバブル崩壊」です。
三回目が2008年の「リーマンショック」です。
今回はすでに金利差は0.15%ほどのまで縮まっており、長短逆転が目前に迫っています。
リーマン以降10年に及ぶ長期景気局面のなかで積み上がった膨大な債務残高や、中国の景気減速を原因とする世界的な貿易の縮小など、今までに抑えられていた膿が一気に噴き出す恐れは十分に考えられます。
2月24日の日経新聞のインタビューで「冒険投資家」として有名なジム・ロジャーズ氏が答えたような「次の経済危機はリーマン・ショックを上回る史上最悪のものとなるだろう。」という言葉が現実になりかねませんよね。
現にラトビアやアルゼンチン、トルコではすでに危機が始まっているかもしれません。
今回の記事は、先日の記事の補足として上げました。
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