日銀の高齢化社会に対する処方箋ー日銀調査統局長の「波平さん」発言から

こんにちは !
10日の米株式相場は反発しました。
米連邦公開市場委員会(FOMC)会合(3月19-20日分)の議事要旨の発表があり、政策に関するFRBのハト派傾斜が確認されました。

 

S&P500種は前日比5.65上げて2883.85ポイント、ダウ平均は6.58ドル上げて26157.16ドル。ナスダック総合指数は54.96と大きく上昇して7964.24ポイントで引けました。


米国株3指数の結果です。

足元で市場心理の支えとなっているテクニカル指標として、S&P500の50日移動平均が同200日移動を下から上抜けする「ゴールデンクロス」があります。相場の潮目の変化を示すとされるゴールデンクロスを達成したのは4月1日で、これがさらに上昇の勢いが強まるとの期待となり4月のS&P500上昇の一因となっていようです。
S&P500指数のチャートです

昨日の市場で特に目についた個別銘柄のうごきとしては
航空機のボーイングが前日に公表した1~3月期の納入機数の落ち込みが想定以上だったとして、JPモルガンが目標株価を引き下げたのが嫌気され、ダウ平均を押し下げました。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、同54.966ポイント(0.7%)高の7964.244と昨年10月上旬以来の高値で終えましたが、これには来週以降に相次ぐ主要ハイテク企業の決算への期待が買いを誘ったようでした。


昨日発表のあった重要事項
・ 米国債は上昇、10年債利回り2.46%
・ NY原油は反発、米ガソリン在庫が急減
・ NY金は続伸、世界経済の成長懸念で逃避需要


今週の重要指標の発表予定
4月11日(木)
・FOMC議事要旨(3月20日分)
・米月次財政収支(3月)
・中国生産者・消費者物価指数(3月)
・米生産者物価指数(3月)


4月12日(金)
・中国貿易統計(3月)
・ユーロ圏鉱工業生産(2月)
・米輸入物価指数(3月)

・ミシガン大学消費者マインド(4月)
決算発表企業 : JPモルガンチェース、ウェルズファーゴ
4月15日(月)
・ニューヨーク連銀製造業景気指数(4月)
決算発表企業 : シティグループ、ゴールドマンサックス

先日の「MMT金融理論」に関する続報です

以前にMMTに関する記述をおこないましたが、最近各方面でこの理論に対する論議が多く交わされ始めてきました。

  


MMT理論というのは、米国や日本などのように、中央銀行を持ち、自国通貨で借金する国は破産することはなく、高インフレを招かない限り、支出のし過ぎ(財政赤字)を心配する必要はないというのがMMT理論の趣旨です。


つまり、完全雇用に近い経済環境下においては、金利の上昇やインフレの危険性がおきなければ財政赤字を重視する必要はないという考え方になります。


MMTが活発に議論されている背景には、先進国が景気悪化の際にどのように対応するかや、中銀による利下げ余地が限られる中で財政政策が主導的な役割を果たす必要があるかどうかについて、関心が広がっている事情があります。


直近の先進国の政府債務とGDP比は、米国でGDP 1900兆円に対し政府の債務は2400兆円、中国はGDP1200兆円に対し政府債務は約3000兆円(不確実ですが)、対する我が国はGDP500兆円に対し、債務は1300兆円程度となっており、これらの債務の解消は完全に不可能になっているにもかかわらずさほど論議をおこしてはいませんが、一般の家庭に置き換えてみればとんでもないことが良くわかりますよね。


この理論に対して、ウォール街や学界の重鎮はMMTを相次ぎ批判をしており、ハーバード大学教授のサマーズ元財務長官は「重層的な誤り」を指摘し、米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は「くず」だと一蹴しています。
また、FRBのパウエル議長やウォーレン・バフェット氏など著名な投資家や金融専門家もこういった考え方の危険性を明確に指摘しています。
MMTの怖さは時計の右回りと同じで、通貨の価値が毀損しないことを前提にしています。つまり、いったん通貨の信任が失われたらその価値が一気に下落してハイパーインフレに突入してしまい、こうなったら万事休すで中央銀行も政府もなんら手を打つことはできません。国民の財産が大半失われてやっと終息を見ることができるといったシナリオが現実になります。


実際に、多くの国が貨幣発行によって財政赤字の穴埋めに努めてきた経緯があり、インフレを制御できなくなり、投資や成長の落ち込みという結果に終わっているのが過去の事例で明らかになっています。


先日の関根日銀調査統計局長の発言から

日銀調査統局長の高齢化問題に対する「波平さん」理論 !!

1. 1946年に54歳の波平さんと2016年の74歳は生物学年齢が同じ
2. 最適な解は平均寿命上昇に応じ働く期間を増やすことに他ならない

  

日本銀行の関根敏隆調査統計局長は、国民的人気の長寿アニメ「サザエさん」に登場する父親の磯野波平さんを引き合いに、波平さんと比べると今の日本人ははるかに若くなっておりと指摘。
それに適応した社会保障制度などへの変更が高齢化問題の処方せんにつながると提唱しました。
以下がその時の内容です。
「サザエさん」は戦後間もない1946年に原作漫画の新聞連載が始まりましたが、漫画の中の波平さんは以来54歳のままです。関根局長(55)はインタビューで、「年齢には実年齢と生物学年齢の二つの概念がある」とし、自身より1つ年下の波平さんを引き合いに出し、「日本人は生物学的に当時よりずっと若くなっている」と主張していました。


生物学年齢を測る最も単純な指標は死亡率(人口100人に占めるその年の死亡者の割合)で、利用可能な1947年の統計では54歳の死亡率は1.7%。2016年で同じ死亡率なのは74歳で、「1947年の波平さんと生物学年齢は同じだ」と言い、同様に大阪万博が開かれた70年の65歳と、2016年の77歳の生物学年齢は同じ(死亡率2.3%)といいます。


一方の調査では、17年の70-74歳の平均的な歩く速度は10年前の5歳若い年齢層と一緒で、16年の75-79歳の平均的な歯の数は11年前の10歳若い年齢層と同じ。運動や食生活の改善など健康的な生活に対する意識の高まりや医療の進歩により、日本の高齢者は若返っています。


また、生産年齢人口(15歳から64歳)100人で何人の高齢者(65歳以上)を支えているかを示す老年人口指数は、55年の10%から2015年に45%に上昇したが、1970年の65歳を基準とした生物学年齢でみるとほぼ横ばいで推移している。生物学的にみれば、生産年齢人口と高齢者の定義は「実年齢より生物学年齢を用いる方が理にかなっている」と関根局長は語っています。


その上で、年金支給開始や退職の年齢など、実年齢にひも付けているさまざまな制度は「現実に起きている変化に適応していない可能性もある」と指摘。退職年齢が実年齢ではなく、生物学年齢に応じて設定されれば「社会保障制度の持続可能性の問題は雲散霧消する」と語る。理論的には、平均寿命の上昇に対する最適な解は「人生における働く期間をそれに応じて増やすことに他ならない」と言う。


つまり、最悪のシナリオを避けるには
高齢化と人口減少は、経済の実力である潜在成長率を低下させる要因であり、国際通貨基金(IMF)は今後約40年で実質国内総生産(GDP)を25%以上縮小させると試算しており、将来に対する厳しい予測は、家計や企業の支出を萎縮させ、需給ギャップを悪化させるとしています。
関根局長は1月のG20シンポジウムで講演し、「波平さん」を取り上げ「長寿社会は素晴らしい贈り物であるが、しかし長生き自体が問題なのではなく、それに適応する制度を作ってこなかったことが問題だ」と指摘しました。
皆が心配しているのは年を取った時に資産があるか、健康を維持できるかどうかだが、「そこは個人的に努力すれば良い。制度も皆で整備すればいいのではないかということに尽きる。希望を捨ててはいけない」と語りました。』


要するに、「今の年金制度では将来対応できないですよ—。」
「制度も改革しなきゃいけないけど、それよりも、みなさんは昔より肉体年齢は若くなっているのだから、もっと長いこと働かなきゃいけないですよ—。」
ということを漫画を引き合いに統計数値を示しながら、年金制度改革の合理性をアピールしているわけですが、そもそも1947年がどういう時代かわかっているのでしょうか・・?
昭和20年の終戦の翌々年ですよ。
こんな戦後の混乱期の54歳の死亡率が2016年の74歳の死亡率と同じなんて、比較する時代背景も基準も全くおかしいと思いませんか ?
厚労省の統計不正問題といい、この国の官僚は、2014年に創設された「内閣人事局」による降、昇格を人質にとられた官僚側が政治家の顔色をうかがうことに奔走して官僚としての誇りを失って以来、国民をバカにしたような話題を堂々とあげて問題をおこしています。


米国株ブログのブロガーの人たちの中に米国株で資産を増やして「アーリーリタイア」を目指したいという方を多く目にしますが、なにより「自立心」を持つことと「目標」を明確にすることの意識を持つという点においては、私はとても素晴らしいことだと思っています。
「アーリーリタイア」が決していいことだとは思いませんが、リタイアした後の人生を描いた上でのリタイアであれば、やはり素晴らしいことだと思います。


頑張って資産形成に励んでもらいたいです。


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