米国株は世界景気や政治リスクとの綱引き状態・・・今後は?

お疲れ様です。
本日も米国株指数は続伸し、3日続伸して終わりました。
17日の指数です。


  
低迷していた市場の動きが急激に上昇しましたが、その原因は対中関税を緩和するという話が入ったことによるものでした。

ダウ・ジョーンズ通信は17日午後、「米政府は中国に課している追加関税の引き下げを議論している」と報じた。それまで横ばい圏で推移していたダウ工業株30種平均は一気に上昇し、一時267ドル高となった。だが報道によれば、追加関税の緩和を提案しているのはムニューシン米財務長官。米中通商協議の責任者で対中強硬派のライトハイザー・米通商代表部(USTR)代表ではなく、「楽観するのはまだ早い」との警戒感が出てその後は下げに入ってダウは最終162.94ドル高の2万4370.10ドルで引けました。


ここにきて、政府閉鎖の影響が各経済指標に影響を及ぼしています。12月の住宅着工件数や許可件数、12月の小売売上高の発表は延期されており、それによって金融市場やFRBの市場判断に影響を及ぼしてきます。
特に、1月末のFOMCの開催に支障が出かねません。


<決算関連から>
時間外取引の動き
1. 動画配信のネットフリックスの10~12月期決算。
ネットフリックスが17日の取引終了後に決算を発表しました。同社株は12月下旬から2割近く上昇していましたが、契約者数が予想を下回り、増収減益を発表しました。売上高は41億8684万ドル(+27%)、純利益は1億3393万ドル(-28%)、一株利益は30セントと予想を上回りました。
ただ、市場が予想する契約者数の伸びは、全体で884万人と予想を下回った。それによって株価は時間外で一時5%以上下落しました。
アマゾン・ドット・コムは同じ間に約3割、フェイスブックは約2割とハイテク株には短期間での急伸が目立つ。今後、決算が期待外れとなれば売り込まれ、相場全体の下げにつながる可能性は否定できません。

   

2. モルガン・スタンレーの2018年10~12月期決算。
同社の決算は、総収入が85億4800万ドル(-10%)、純利益15億3100万ドル(約2倍)、一株利益は73セントと予想を下回りました。
米株の急落で株式トレーディングの収入は横ばいにとどまり、増収を確保した競合のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースと差が付いた。債券トレーディングは30%減収、ウェルスマネージメント事業が6%のマイナスと大幅に落ち込みました。  


2. クレジットカード大手のアメリカン・エキスプレス(アメックス)の10~12月決算。
通常取引終了後に発表した2018年10~12月期決算で総収入から利払い費を引いた純収入が市場予想に届かなかったことに加え、19年12月期通期の1株利益見通しもやや慎重と受け止められた。
19年12月期の1株利益見通しは7.85~8.35ドルを見込み。中心値は8.10ドルと市場予想(8.15ドル)を下回りました。
通常取引を前日比0.1%高の99.49ドルで終えた後、時間外で96ドル台前半と終値を3%近く下回りました。


3.FRBの副議長の強気発言
FRBのクォールズ副議長が17日の講演で、市場は世界景気の下振れリスクに敏感ではあるが、アメリカの実体経済は非常に強い。インフレも引き続き抑制されていて米国経済は今後も好調が続くと公表しました。


4.経済指標からは米国内の力強さが現れている。
フィラデルフィア連銀の一月の製造業景気指数は、前月比で17(+7.9)と予想を上回る結果となりました。また、新規受注が8ポイント上昇し、幅広い項目で0を上回りました。したがって、製造業の活動は引き続き拡大をしています。また、先週一週間の新規失業申請者数は予想に反して、前の週から3000人減少して、21万3000人となりました。
また、12/30~1/5までの連邦職員の新規失業保険の申請は10,454人と前週より5694人増加しました。政府閉鎖の影響で自宅待機の職員が一時解雇の扱いとなり、失業保険を受け取れる可能性が出たことが要因とみられている。

今後の株価の動向は

チャートはS&P500の2年チャートです。
12/24の2351.10ポイントを底値に反発し、1/17時点で2635.96ポイントまで12.1%上昇しています。200日移動平均線を下回って大きく反発し、75日移動平均線に近づいています。
今後の決算によってはさらに上抜けるかといったところですが、反発の原因がFANG株の復調といわれています。今回のネットフリックスの株価が今後ほかのハイテク企業の株価にどのように影響を及ぼすのか注意が必要です。


◆ 内在するリスク
英国のユーロ離脱問題、対中貿易関税の協議、政府機関の長期閉鎖、シリア問題、などの地政学リスクや長短金利差の縮小や利上げ問題、さらには米国国内に高まっているレバレッジド・ローンリスクの問題も出てきています。


今、米国国内では、第2のサブプライム・ローンリスクといわれる「レバレッジド・ローン」の残高が急激に増えているそうです。「レバレッジド・ローン」という聞きなれない言葉ですが、これはハイイールド゙債よりもリスクは低いそうですが、ハイイールド債は企業が自前で資金調達する社債なんですが、これとは違ってレバレッジド・ローンは金融機関による企業への融資だそうです。その資金は主にM&Aに利用されるのですが、この残高がハイイールド債の残高を上回ろうとしているそうです。
このレバレッジド・ローンの残高は3000億ドルを超えており、8年間で3.5倍の規模になってるそうです。


リーマンショックを覚えているみなさんは,サブプライム・ローンをよく知っていると思いますが、サブプライムは小口の個人の住宅ローン債権を束ねて証券化したものなのですが、このレバレッジド・ローンを束ねて証券化した商品が増加しているということです。


現在の低金利での金融緩和状況の中で、これが膨れ上がり、やがて景気が減速して金利が上昇したら、第2のサブプライム・ローンになるという専門家の警鐘が出ています。


この要因の一つには、好景気によって金融機関の企業向けの貸し出し態度が緩和していることも挙げられるそうです。
ハイイールド債よりも信用リスクが低く、かつ、相手が個人でなく企業であり、景気が好調であるということで安心し、過去の失敗を忘れかけているのかもしれません。


日本の金融機関もかなりの量をロ-ン担保証券としてこれらを保有しており、万一の場合には日本の金融機関への飛び火につながるリスクがあります。


いづれにしてもそういった危険性も踏まえて、今後の株価を見ていきたいと思います。

要点

いろんな問題が内在しており、視界は全く不良ですが、今は決算の動向に目が向いています。決算発表が終わったらどう動くか予断は許せません。今、投資に積極的に向かうのは危険だと思っています。

ハイテク企業の株価もネットフリックスのようなけん引役が腰折れした今、今夜からの株価の動きはわからなくなりそうです。


米国株指数と保有資産およびウオッチリストのグロース株の昨日までの伸び状況をご報告しておきます。

ウオッチリストのアマゾン、アリババ、エヌビデアは年初来で2桁の伸びとなっています。


投資に関する考え方は個人の感想ですから、投資は自己責任でご判断ください。


では、よい投資を !

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