4日の米国株急騰に関する専門家の意見を拾ってみました

おはようございます。
4日のニューヨーク市場の株価は大幅上昇で、ここ最近立ち込めていた暗雲を吹き飛ばすかのような上昇ぶりでしたね。
マーケットは12月以降、ボラテリティの高い相場が続いていますが、来週からもその流れは変わりそうにないですね。
このところの相場の変動の大きさについて、専門家のいろいろな意見や見方が出ているので拾ってみました。
今後の投資判断の参考にしていただけたらと思います。


■景気後退論は尚早
コリン・シージンスキ氏 = カナダ資産運用会社SIAウェルス・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト
株式相場の急反発は4日に発表された12月の米雇用統計で非農業部門雇用増加数が市場予想を大幅に上回ったことが材料の1つでした。中国などの外国景気の動向にあまり左右されない米国内企業の景況は引き続き好調であることを示した。市場参加者の中には景気後退懸念を持つ向きもあるが、景気後退は時期尚早といえる。


加えて中国政府が米中貿易交渉を再開すると発表したことや中国人民銀行が、預金準備率を引き下げると発表したことも市場は好意的に受け止めた。


パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日の講演で「金融政策を柔軟に見直す用意がある」と述べたことも相場上昇につながったが、私は依然としてFRBは今年中に2回利上げを実施するとみている。米景気は堅調で利上げは理にかなうからだ。株式相場の低迷や中国景気の悪化に反応してパウエル氏が利上げを停止したら、市場はかえってFRBのパニックぶりを懸念して相場の急落につながる恐れがある。


今後もしばらく米中貿易摩擦や景況を材料に、連日のように市場はベア(弱気)派とブル(強気)派が先導役を交代する乱高下の展開が続くだろう。まもなく発表が本格化する10~12月期の企業決算は重要な材料だ。


楽観見通して、利上げ肯定的で今月から始まる10~12月期の決算次第とみています。

■3月利上げならネガティブ

スコット・レン氏 = ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのシニアグローバル株式ストラテジスト
パウエルFRB議長が、FRBが市場の声に注意深く耳を傾けていると示唆したことを市場はポジティブに受け止めた。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見は、投資家とのコミュニケーションとしては失敗だった。保有資産縮小のペースに関して「自動操縦」という表現を使ったことで、政策の柔軟性がうまく伝わらなかった。FOMC後、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁やダラス連銀のカプラン総裁も相次いで慎重な姿勢を示しており、FRBは市場を落ち着かせることに注力しているようだ。


我々は2019年の利上げは2回を予想している。これまでの利上げ効果を見極めるとすれば、利上げのタイミングは年後半になる可能性が高い。もし3月に利上げをした場合、株式市場はネガティブに反応するだろう。


19年の市場のリスクはFRBによる読み違いと世界景気の減速だ。ここ数週間のFRB関係者の発言で前者のリスクはやや減ったと言える。S&P500種株価指数は(業績などの)ファンダメンタルズからみれば売られすぎだ。米経済もそこそこよく、インフレ加速の兆しもない。この環境で再度下値をトライするには、世界景気の急激な減速や貿易摩擦の激化などの要因が必要だ。


利上げは年2回、3月利上げは難しい。年後半にしたほうが良いとの見方です。

<金利動向について>
金利については4日の株価上昇によって、長期金利の指標となる表面利率3.125%の10年物国債利回りは前日比0.12%高い2.67%に上昇。2年物国債相場は6営業日ぶりに反落して利回りは前日比0.11%高い2.49%となったが、株価が下落すれば資金は債券に流れて、またまた長短金利の逆転の可能性が出てくるので、この件についても見方を探ってみました。

■米長短金利の逆転を危惧する専門家の見方 

1)  バリー・バニスター氏 = 米証券スティーフェル・ニコラウスの機関投資家株式戦略部門責任者、
米債券市場で期間が長めの金利が、短めの金利よりも低くなる「逆イールド」という逆転現象が起こった。将来の景気後退のシグナルとされ、株価の大幅安を引き起こした。
米株式相場の下落は、フェデラル・ファンド(FF)金利が中立水準に近づいていることの警告サインだ。FF金利は10年超にわたって中立金利を下回り、株式相場の上昇材料となっていた。


米連邦準備理事会(FRB)はこの12月の利上げを最後にしばらく利上げを見送るだろうが、すでに利上げをし過ぎたとみている。利上げを休止しないと長短金利差逆転(逆イールドカーブ)となり、景気は後退に陥るおそれがある。短期金利が上昇する一方で、景気減速に伴い10年債利回りは低下するからだ。


2018年の企業収益の拡大はトランプ減税と自社株買いが追い風となったが、今年はこの材料が払拭されて業績減速が鮮明となる。ドル高や貿易摩擦が深刻化するからだ。米中首脳会談を受けた貿易戦争の"休戦"は一時的で、株価上昇への効果は短期的なものにとどまる。


非常に厳しい見解ですね。今年度の利上げをやめるのはもちろん、12月の利上げに対しても厳しい見方です。

2)  ゲーリー・シリング氏 = 米経済調査会社A・ゲーリー・シリング社長、
 株式相場が米国をはじめ、世界で大きく下落しているのは、米国と世界の景気が来年かそれ以降に後退するという懸念が強まっているからだ。当社ではまだ正式に米景気が後退するとの見通しを発表していないが、その可能性は強まっている。
FRBがあと1回か2回利上げをすれば、長短金利差の逆転(逆イールドカーブ)が起こり、それが景気後退につながるだろう。過去に逆イールドが起きた場合には必ず景気後退がそれに続いている。
FRBの利上げの打撃を最初に受けるのは住宅ローン金利の上昇によって一段と減速する住宅市場だ。小売業界も米中貿易摩擦の悪化懸念を背景に、中国からの輸入に一段の関税がかけられる前に駆け込み的に輸入を増やしている。これが在庫水準を高め、それをさばくために値下げを余儀なくされるだろう。
金融市場ではFRBの利上げを受けてドル買い、新興市場の株式・債券の売り、中国の景気減速を受けて銅などの需要が減り、商品相場も売りが強まる。投資家はしばらく守りの姿勢を強めるべきで、米国株はヘルスケアや公益、生活必需品関連の株式への投資が無難だ。


こちらも利上げが逆イールドにつながるといった否定的な見方です。

以上ですが、去年は4回の利上げをおこないましたが、今年は難しいようです。おこなうにしても今年の後半以降という見方が多かったですね。


ご参考いただければ幸いです。

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