現在の米国が抱える「貧富の格差」に関する警鐘 ーレイ・ダリオー

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昨日の米株式市場でS&P500指数は8日連続の続伸となりました。
ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、-83.97ドルの26341.02ドル、ナスダック総合指数はは続伸し、+15.19の7953.88ポイントと18年10月上旬以来ほぼ半年ぶりの高値で終えました。S&P500種指数は+3.23の2895.97ポイントの8日続伸となりました。


この日のニュースでは、ボーイング株の大幅下落アップル株の上昇でした。
ボーイングは墜落事故を起こした主力旅客機「737MAX」の生産ペースを2割落とすと5日に発表したことでアナリストの目標株価と投資判断を引き下げが影響して、4%あまり下落し、1銘柄でダウ平均を118ドル強押し下げたことによって、ダウはマイナス圏に沈みました。
アップルについては、ヘルスケア事業が成長をけん引するとのリポートを受けたことにより、3.10ドル(+1.57%)上昇して200ドル台を回復しました。


アップルのチャートです

今年の1月3日終値142.19ドルを底に反発、4月8日終値200.10ドルに40.7%の大幅上昇となりました。


8日のニューヨーク株 3指数の推移です。

さて、米主要企業は今週から2019年1~3月期の決算発表が始まります。
先陣を切って発表が始まるのは、12日に米銀行大手のJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴですが、今回の主要500社の1株利益は前年同期比4.2%減と16年4~6月期以来の減益が見込まれており、発表シーズン入りを前に利益確定売りが出やすくなってきます。
米大手銀行の1~3月期の利益予想は半年前の8%増が、2%増に縮小していますが、その主因とみられるのがFRBの利上げの停止であり、これによって10年物国債の金利は2.5%程度にまで低下し、短期金利との利回り差がほとんどない「フラット」と呼ばれる状態になり、銀行は利ざやを稼ぎづらくなっています。


決算に対するアナリストの収益予想は下方修正は続いていて、S&P500構成銘柄の1~3月期の1株利益は年初から3月末までに7.2%引き下げられています。
下方修正幅としては、中国の景気減速が鮮明になった16年1~3月期(9.8%)以来の大きさといわれています。


また、現在の米国株のPER(株価収益率)は18倍程度であり、過去数年と比べると必ずしも割高ではないといわれていますが、日本のPERの約14倍、ドイツの約13倍と比べれば高く、今後の増益基調が揺らぐとなれば、現在の株価の割高感はさらに高まってきます。
もう一つの株価の割高感を測る尺度として、「EV/EBIT倍率」という尺度があるのはご存知でしょうか?
念のために、説明すると企業価値(EV)を、営業利益に近いEBIT(利払い前・税引き前利益)で割って算出するもので企業価値が何年分の営業利益に相当するかで割高・割安を判断するものであります。
機関投資家が参考にするS&P500種株価指数のEV/EBIT倍率は5日終値で16.0倍とS&P500が史上最高値を付けた昨年9月20日(15.9倍)を上回っています
過去10年の平均は12.3倍となっており、「世界景気と米企業収益が減速に向かうことを考えれば、今の水準はあまりにも割高だ」と警戒する見方も台頭してきています。


また、現在半導体関連株が好調ですが、主な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は5日、3日連続で史上最高値を更新しました。
スマートフォン需要の減速で半導体市況が低迷するなか、市況と逆行するかのようなSOXの高値更新は、勢いで上げてきた相場に危うさを感じる投資家も多くなってきています。


<金価格の動きから見た、市場の見方について>
金の上値が重くなっています。その理由として米国や中国の景気が底堅いとの見方が長期金利を押し上げ、金利が付かない金の価格を抑えています。
国際指標のニューヨーク金先物は5日時点で1トロイオンス1290ドル台で推移しており、3月下旬から下落が続いて2月の10カ月ぶり高値からは約4%安い水準になっています。


金の価格上昇を抑えたのは、米長期金利の反発で、3月下旬に中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)の改善が確認され、中国景気が冷え込むとの懸念が和らいだことに加え、4月に入っても、米国で製造業の景況感などの持ち直しがみられたことで、世界経済をけん引する米中の景気が底堅いとの見方が広がって安全資産とされる米国債が売られました。
また、貿易摩擦を巡る通商交渉が妥結するとの観測も、金利上昇につながっています。
以上のように、景気後退時の安全資産へのへ投資先としての金への資金流入が伸びないということと、長期金利の現在の水準(2.5%程度)が続く状況においては、今後しばらくは「適温相場」が継続しそうという見方にもつながってきます。


<富の格差が米国社会の「存在脅かす」-ブリッジウォーターのダリオ氏>

1. 米国では高所得者と低所得者との格差が拡大している

2. 最も収入の少ない層の米国人男性は、最も多い層より10年短命

   
世界最大のヘッジファンド会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は、米国の資本主義の欠陥が教育、社会の流動性、資産、所得に破壊的で自己強化的な格差を引き起こしたとの見解を明らかにしました。


同氏は新しいエッセイ で、統計によると米国で所得が少ない方から60%の人と上位40%の人の格差が拡大していると指摘しています。


一例として、上位40%の人の資産は下位60%の平均10倍で、1980年の6倍から差が開いていることを挙げました。さらには最も収入の少ない層の米国人男性は高い確率で、最も多い層より10年早く死亡するということも指摘しています。


ダリオ氏はかねてから不平等に焦点を当て、ポピュリズムの危険性について警告していたが、今回の論文で、それらが米国社会の「存在を脅かす」とより詳細に論じた。経済の弱体化、他国に対する競争力の低下、「ひどい紛争が起こる高いリスク」を格差の弊害として挙げています。


ダリオ氏は昨年の9月にも、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、米国は2年後に景気が下降に転じる可能性が高いとの見方を示した。またドルは大きく下落すると予想しました。現在の減税による景気刺激策の効果は約1年半後に衰え始めると指摘。また政府は財源が不足する年金やヘルスケアなどの支払いに充てるため借り入れを増やすと述べました。
国内外での米国債需要は米政府の借り入れニーズに追いつかず、金融当局はゆくゆく利上げよりむしろプリントマネーの必要性が生じ、それが急激なドル下落を招くと、ダリオ氏は予想。ドルは最大30%下げる可能性があると述べた。


ダリオ氏は「私が懸念しているのは今から2年後だ」と指摘。「債務危機というよりドル危機になるだろう。政治・社会的危機の面が強いと思う」と続けた。


この問題は、資本主義経済社会の先駆である米国においての今後の問題である所得格差が実体経済に大きな影響を及ぼし国の経済力を低下されることを指しており、そうした危機下での財政政策の限界を表していると思います。


私たちの日本においても、近年、米国同様に所得格差はますます広がり、更に少子高齢化は加速的に進んでおり、国内のGDPの成長は見込めなくなっています。
さらに政府の債務はGDP比230%を超えて米国の二倍の債務比率になっていますが、幸い今の段階ではインフレの兆候は見られていません。
しかし、今後インフレが進んだ場合の財政手段は米国に比べほとんど残されていない厳しい状況下にあります。


数年先には、そんな厳しい現実が訪れないとは限りません。そんな時にも「自己責任」の名のもとに弱者は切り捨てられていくのでしょうか。


投資をしているみなさんの中にも、豊かな生活を求めてというより、そうして場合に備えて資産運用をしている人も多くいると思います。
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