稀代の経営者 ジェフ・ベゾス

おはようございます!
昨夜のニューヨーク市場は6日ぶりに小反落しました。
市況です。

ダウ工業株30種平均は前日比5ドル97セント安の2万3995ドル95セントで終えた。足元で相場上昇が続いたため、週末を控え利益を確定する目的の売りが優勢となった。ただ、米中の貿易協議の進展期待などが支えとなり、相場の下値は堅く売り一巡後は下げ幅を縮めた。
ゼネラル・モーターズ(GM)が2018年12月期の1株利益が従来予想を上回り、19年12月期の1株利益が市場予想に反して増益になるとの見通しを発表。
アナリストが相次いで前向きな見通しを示したネットフリックス株が大きく上昇したことも投資家心理を支えた。


アマゾンのジェフ・ベゾス氏の離婚問題の報道を「モーサテ」でみました。
そこで、今日はみなさんの中でも保有数の多いアマゾンについて、そして、ジェフ・ベゾスという人物とあわせてとりあげてみました。

     


ベゾス氏の資産は1370億ドル(日本円で14兆8000億円)、実に日本の税収の25%強になります。日本の税収は

  • 所得税:17兆9,480億円
  • 法人税:12兆3,910億円
  • 消費税:17兆1,380億円
  • その他税収:10兆2,350億円

 以上のごとく合計で約57兆7千億円です。(平成29年度予算から)


とまあ、とんでもない金額になります


ベゾス氏はアマゾンのほかにホールフーズや航空宇宙事業のブルーオリジン、ワシントンポストのオーナーでもあります。


従って、この資産がどのように分割されるかに注目が集まっています。
ベゾス氏は、9日に妻のマッケンジーさんと25年の結婚生活に終止符を打つことにしました。アマゾンのビジネスを始める前の1993年に結婚、アマゾンの設立に大きく貢献をしました。


財産の範囲などを決める婚前契約が交わされていたかは不明ですが(欧米では結婚する前に予め離婚したときのために財産分与の契約を取り交わしておくのが通常)、ベゾス氏が最大株主であるアマゾンの保有株式を半分得た場合、アマゾンの経営に大きな影響力を持つことになります。


ベゾス氏の財産が平等に分別された場合、マッケンジーさんが女性で世界一の富豪になり、ベゾス氏はビルゲイツ氏にトップの座を奪われることになります。


ベゾス氏はFoxテレビの司会者でヘリコプターの操縦士のローレン・サンチェスという女性と8か月前から交際をしているそうです。


ここでジェフ・ベゾスという人物について。そしてその理念についてみてみましょう。

ではベゾス氏の経営戦略とは

アマゾンの経営戦略をドラッカー理論で説明する

この名言の趣旨とは、「二律背反をどう両立させればいいのか?」ということです。

アマゾンはどう二律背反を成り立たせているのか?

二律背反とは、「重要な二つの事柄が互いに矛盾しあって存在していること」を言います。二律背反で成り立っているものの一つに、「企業の利益」と「顧客の利益」があります。この二律背反関係において、従来になかった新しい考え方を持ち込み、成功しているのがアマゾンです。


ベゾス氏がアマゾンの戦略の中で「三種類のバランス」をどのようにバランシングさせているかというと、まずは「利益とのバランス」についてですが、もともと同社は創業以来6年間、赤字を続けていました。その理由は、今に続くまで、同社の利益のほとんどを次の事業投資へと振り向けていることにあります。


同社の奇抜な利益戦略とは、「自社が利益を確保するための価格」を設定するのでなく、まずは「顧客を利するための価格」にし、自社は「それでも利益を出せる体制に変化する」というものです。この逆転の発想が、同社が躍進した最大の理由です。


アマゾンにとっての「三種類のバランス」

アマゾンの利益戦略を知る好例としては、みなさんの中にも記憶があると思いますが、
2000年の夏に『ハリーポッターシリーズ』を赤字で販売したことが挙げられます。


当時、アマゾンはこの話題作を40%値引きするとともに、通常配送料金のままで発売日に配送できるように手配。予想される総額赤字は100万ドル(1億円)でした。しかし反対者の多い中で行われたこのキャンペーンは大成功。同社は顧客から絶大な支持を獲得、メディアにも大きく取り上げられ、高い宣伝効果を上げました。


ベゾス氏の先見性は、本来あげられるはずの、目の前の利益を放棄している点にあります。「現在と将来のバランス」で言うと、明らかに未来の比重を大きくしていることがわかります。同社は今でこそ利益を出すようになりましたが、利益について、ベゾス氏は「利益を出すのは簡単です。同時に愚かなことでもあります」と述べています。


アマゾンは「エブリシングストアをつくる」という夢の実現に向けて多くの目標を掲げ、それに邁進しています。当然、「数ある目標とのバランス」も考えているでしょう。とはいえ、少なくとも短期的利益の獲得に関しては、ベゾス氏の目標の中には含まれていないようです。

「何年たっても変わらないもの」をビジネスの根幹に据える

もともと、商売とは「利益が出ること自体がクレージー」といってもいい性質のものです。なぜなら、企業利益は基本的に顧客の利益と相反する関係にあるからです。


周りの人々には、経営者が見ている未来の姿は見えません。どんなに懇切丁寧に説明したところで、他人にはそのうちの一部しか理解することはできないでしょう。


それに納得できない人は当然離れていくことになりますが、経営者にその態度を貫き通せるだけの自信がなければ、やがて二律背反のバランスは崩れることになります。


ベゾス氏が自信を持って進める理由の一つに、アマゾンが簡単に変化しないものをビジネスの根幹に据えていることが挙げられます。同社が「ビジネスにおいて、5年後、10年後も変わらないものは何か?」という問いに対して、出した答えが「ユーザーは低料金、早い配送、幅広い品揃えを求めている」というものでした。


ベゾス氏の信念は、「顧客第一主義は顧客のためになると同時に、長期的に見てアマゾンの利益になる」という確信から生まれたものです。彼はかつて「『顧客にとっていいことは株主にとって悪いこと』という二者択一でしかものを考えられないのは素人だ」と喝破しています。一見、極端に見える氏の言動ですが、実際は誰よりもバランスの大切さを理解しているということが、この言葉から察せられるのではないでしょうか。


とドラッカー理論をまさに実践したベゾス氏の経営理念は確信的自信の中で実践されたものです。私たちには及びもつかない境地での理念ですね。


つづいて直近のアマゾン関連のニュースです

「アマゾン抵抗力」、世界で明暗

米国ではアマゾン・ドット・コムの台頭が既存の小売業を揺るがす「アマゾン・エフェクト」が猛威を振るっている。19世紀末に創業した小売りの名門、米シアーズ・ホールディングスは昨年10月に経営破綻。2017年には家電量販のラジオシャックや玩具販売のトイザラスなどが退場を迫られた。

昨年の年末商戦についても、最初は力強く始まったがそれも続かず2019年1月期通期の業績見通しを引き下げたのも重なり1月10日の株価はメーシーズは前日比17.7%安と急落した。同業のコールズも4.8%安に沈んだ。
メーシーズもコールズもネット通販は2桁台の伸びだったが、実店舗販売が苦戦したのが鮮明だった。

アマゾンの影響が深刻な米欧の小売り大手は、「アマゾン抵抗力」を高めるためのネット販売にシフトをすすめていて、米ウォルマートはここ数年「テクノロジーおよびその他資本費用」として年8千億円前後を計上。18年8月にインドのネット通販最大手を160億ドル(約1兆7千億円)で買収するなど、M&A(合併・買収)も加速させている。


仏カルフールも5年間で28億ユーロ(約3500億円)をIT関連に投じると発表した。


一方、小売市場全体に占めるネット通販比率が約2割の中国では、ネット勢が実店舗を構える小売り大手をのみ込む。


アリババ集団は17年、百貨店大手の銀泰商業集団を198億香港ドル(約2870億円)で買収した。同業の京東集団も15年に43億元(約700億円)を投じ、大手スーパーの永輝超市と資本提携を結んだ。


ネット販売と実店舗を併用した販売戦略は、利益率の確保が最大の課題であり、やがて店舗は販売の場からネットで注文した商品の受け渡しの場へと変容しつつある。

アマゾンの世界戦略

世界の百貨店や小売店などの業界がこぞってアマゾン抵抗線を張ろうとしている今、アマゾンは軸足をECから次のステージへ移し替えている。


アマゾン はFAANG株の中で2018年を好調に終えた2つの株式の一つである。世界最大のeコマース企業である同社は、2018年に28.4%の上昇率であり、Netflixに次いで2位であった。
下のチャートは2016年~2019年の週足のチャートです

同社の株式は10月初めから急落したが、2018年に市場全体が不調であったことを考えると、年間を通しての業績は見事である。S&P 500とNASDAQではそれぞれ4.4%、3.9%下落していた。


2018年第4四半期はテクノロジー企業にとって厳しかった市場であったことを考えると、投資家が他のテック企業よりも、時価総額が高い同社に投資し続けるべきなのか疑問に思うのは当然のことであろう。


同社の第3四半期決算報告書が発表された時、多くの投資家は主要事業であるオンラインショッピングでの成長が4四半期連続で鈍化していることに困惑した。これにより、多くの人が同社は頭打ちしてしまったのか疑問に思っただろう。


我々は、成長株にとっての逆境の中、同社が成長を続けられるかどうかは2つの要因によって決まると考えている。


1.北米におけるeコマースの拡大
同社はオンラインショッピングでの売上げ減少を許容できないだろう。北米で同社は最大のeコマース企業である。このステータスが、同社が投資家を満足させられるペースで成長を続けるためにはとても重要である。ただ言えることは、このeコマース事業におけるシェアが小さくなるようなことはないであろう。


イーマーケターのリサーチャーによると、アマゾンの2018年米国小売上高は2582.2億ドルになりそうだということだ。それは、全米でのオンライン小売高合計の49.1%にもなる。


オンライン書店として始まった同社は、現在eコマース業界におけるあらゆるエリアを牽引している。このことは、第三者販売の堅調な市場ネットワーク、食料品からファッションアイテムまで幅広い商品ラインナップ、評価の高い「アマゾンプライム」というロイヤルティ・プログラムによって支えられている。


同社は競合他社を圧倒しており、伝統的な小売業を出し抜き、また新しい雇用を生み出している。また2017年半ばに同社は、オーガニック食料品チェーンの「ホールフーズ・マーケット」を買収し、従来型の小売業に影響を与え、またこれからも与え続けるであろう。


同社は広告業から自動音声認識サービス、動画配信サービスに至るまで様々な分野に事業を拡大している。最近では、事業を拡大させることに加え、利益を上げることに注力している。


それでも、同社の成長を妨げるかもしれない要因はある。もし米国経済が不況に陥ったら、もしくは米中貿易戦争によって大企業、また中小企業もコストカットせざるを得なくなったら、同社も確実に損害を受けるであろう。


もし同社が他の業界に進出するとなれば、政府の監視下に置かれる可能性もある。ドナルド・トランプ米大統領は、規模が巨大な同社が米国の小売業と米郵政公社に損害を与えていると主張している。同氏は主にソーシャルメディアやインタビューを通して、アマゾンを何度も批判している。


このようなリスクにも関わらず、同社は利益を上げ続けている。2018年第4四半期においては、営業利益が前年同四半期の3億4700万ドルから37億ドルにまで上昇した。また、9月30日までの9ヶ月間において営業利益は86億ドルであった。比べて、前年同時期の営業利益は19億ドルだった。ファクトセット・リサーチ・システムズによると、2018年第4四半期において同社は売上高が前年比20%増であったことを公表する予定だという。


2.アマゾンのウェブサービス
他にもアマゾンの利益増加に貢献しているのは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)である。ウェブサービスは最も成長している事業部門の一つであり、マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)、グーグル(NASDAQ:GOOGL)、IBM(NYSE:IBM)などの大企業が市場シェアを巡って競い合っている。現在、アマゾンはここでも優勢であり、市場の30%を占めている。


AWS部門の同社全体売上への貢献度はあまり高くないように見えるが、クラウド・コンピューティング・ビジネスは同社の最終的な収益において重要度を増している。例えば、9月30日までの9ヶ月間、AWSの営業利益である51億ドルは同社連結営業利益の73%を占めていた。


だが、ウェブサービス業界ではますます競争が激しくなっている。実際に、他の主要なテクノロジー系企業は全て、ウェブサービス事業を開始しようとしている。


例えばマイクロソフトは、社内技術やその管理に莫大な資産を投入するよりも、データを保存したい企業や、データセンターからアプリケーションソフトを使いたい企業へクラウドサービスを提供する体制へと変化しようとしている。


2018年第4四半期では、マイクロソフトのクラウドサービス売上高は47%上昇し85億ドルになり、利益率は4%上がり62%になった。


要点
アマゾンは様々な分野において首位に立っており、同社株はテクノロジーセクターにおいて最も安全な銘柄の一つである。もちろん、10日の終値は1659.42ドルであり、安くはない。だが、これでも9月初めの最高値の2050.5ドルから約20%下がったことを覚えておいて欲しい。投資家は成長株のリスクが高まった時、どのようなポジションを取るか慎重に考えるべきである。


加えて、同社は1月31日取引終了後に2018年第4四半期の決算を発表するが、もしAWSの競争激化により業績が良くなかったり、eコマース事業がピークに差し掛かかっていたら、同社の株式は下落するであろう。だが、もし長期間保有するための投資先を探しているのなら、アマゾンは短い期間の間に約25%下落した後に魅力的な投資先になる株であると考えられる。


—アマゾンの世界戦略について インベスティング・ドットコムより引用 —


投資は自己責任です、アマゾンへの投資判断はご自身でお願いします。

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