米国の「3月リスク」について

お疲れ様です。
連休でマーケットは休場です。ですのでマーケットに関する報告はありません。来週からの相場に影響を及ぼしそうなニュースを探ってみました。

      


やはり一番の問題はトランプ問題です。
私たち米国株投資家にとって米国の経済運営は何より重要で、そのカギを握ているのはトランプ氏です。


大型減税で「経済重視」を鮮明にした1年目から一転、貿易戦争に突き進んで世界景気は楽観論から悲観論へと滑り落ちました。
景気不安と弾劾リスクは再選の足かせになるため、支持つなぎ留めに、今彼は、やっきになっています。
それが、対北朝鮮に対する二回目の協議です。金正恩(キム・ジョンウン)委員長と2月末ごろに再び会談することで、昨年6月に合意した「完全な非核化」は具体措置を求めようとしています。
「再会談ありき」で仕切り直す非核化の進展は今後の実務協議がカギになるが、成果を導き出す道筋はみえそうにありません。

      


そんな就任3年目のトランプ政権の「3月リスク」をさぐってみました。
       

    ( 上の図のように、株式相場は頭打ち、財政赤字は拡大しています)


1番目のリスクは、1カ月半後期限を迎える米中貿易協議の期限です。トランプ氏と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が決めた「90日協議」は3月1日が期限ですが、不調に終われば貿易戦争は泥沼になり市場へのインパクトは計り知れません。


次に、長引く米政府閉鎖問題です。
約80万人の政府職員が無給のまま約1カ月が過ぎ、消費者心理が悪化。行政手続きが滞り、航空会社など企業業績にも波及しています。
2018年12月22日からの政府閉鎖は過去最長を更新し、開始からまもなく1カ月がたとうとしています。
直接関係するのが政府職員や、政府向け業務を請け負う企業です。米紙ワシントン・ポストの集計では閉鎖の影響を受けている政府契約企業は約1万社に上っているそうです。
行政が滞ることで民間企業への影響が波状的に広がりはじめています。航空業界では、政府承認が必要な新型機の運航が遅れるほか、保安検査員の一部が休んでいるため搭乗手続きに時間がかかっている。
アルコール・たばこ貿易管理局が閉鎖し、企業は新商品や酒類取り扱い免許の申請ができない。医療業界では新薬や医療機器の承認が遅れており業務に深刻な困難が生じています。米ミシガン大学が18日発表した1月の消費者態度指数は、16年11月の大統領選以来の最低水準に悪化しました。

つづいて人材問題です。
トランプ政権の高官離職率は65%と群を抜いて高い。国際協調重視の現実派が去り、「最後の大人」とされたマティス国防長官も退任しました。ホワイトハウスはますます内に籠もる。貿易戦争、ねじれ議会、ロシア疑惑……。難題に直面するトランプ氏の場当たり的な過激策が続けば、米国は世界経済の「地政学リスク」となります。


更に、財務問題です。
3月初旬に連邦政府の借金が法定限度額に達し、議会が債務上限を上げないと数カ月で資金は枯渇します。                                  

   

これにはトランプ政権の大型減税の影響があり、コーン国家経済会議委員長(当時)らの後押しで1年目に10年で1.5兆ドルの大型減税を実現したことがあげられる。
歳出も膨らみ、19会計年度(18年10月~19年9月)の財政赤字は1兆ドルと金融危機時を除き過去最大になっております。


また、膠着している国境の壁建設問題を打開するため、トランプ大統領は「行き詰まりを打開するための提案だ」として19日、野党・民主党への新たな提案を発表しました。幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する制度「DACA」を3年間延長するというものです。
一方で壁建設はこれまでと同じ57億ドル(約6200億円)の予算計上を求めています。


これは、自ら新提案を投げることで歩み寄りの姿勢を演出し、民主党を揺さぶって譲歩を引き出す狙いがあるとみられる。

DACAとは民主党のオバマ前政権が2012年に取り入れた、内戦や災害から逃れてきたアフリカや中東の特定国出身者の一時滞在を認める制度。「ドリーマー」とも呼ばれる対象者は70万人超に上る。現政権は17年9月に制度撤廃を表明したが、裁判所が撤廃を認めない判決を下し、いまも存続状態にある。

以上のように、非常に厳しい局面を迎えようとしていますが、トランプ氏は一向にそれらを改める気配はありません。
「ナショナリスト」を自任する異端の指導者である彼の功罪は、中国や日本、欧州などに貿易戦争を仕掛け、中米からの移民制限やイスラム圏からの入国制限を強行し、環太平洋経済連携協定(TPP)や温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱も表明したことで、ヒト、モノ、カネの流入にブレーキがかかり、世界は自由化や民主化の推進力を失い、地球規模の問題解決能力も低下してしまった。
このままでは全ての国が代償を払う結果になりかねません。


このような人物が、2020年の再選を目指すとなると、白人や低中所得者の支持基盤を「米国第一」の看板で更に鼓舞し続けるのでしょうし、保護貿易や移民制限に益々まい進することを覚悟せざるを得ません。


今日明日と市場はお休みですので、ちょっと視点を変えて世界を、問題のトランプ氏の話題を取り上げました。


こういう破天荒な指導者が世界のリーダーでいる現在では、著名な経済学者のグラハムやシーゲル、エリスなどの経済理論がどこまで通用するかは分からなくなるかもしれませんね。


それでは、みなさんいい投資を !

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