中国成長率低迷は想定よりもずっと深刻なようです。

こんにちは!


5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比13ドル02セント(0.1%)安の2万5806ドル63セントで終えました。

その他のナスダック総合指数、S&P500種指数も併せて小幅に続落しました。
市況の詳細はこちら

昨日の相場のポイントとして
中国政府の経済成長率の目標引き下げを受けて、米中の貿易交渉を見極めたいとして買いが手控えられました。
特に、中国事業の高いボーイングやスリーエム(3M)、建機のキャタピラーなどの銘柄が売られ相場の重荷となりました。、


その他には、2月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が市場予想以上に上昇したことと好決算の発表をおこなった小売株のターゲットやアマゾンとの提携が
奏功したターゲットの同業コールズが上昇しました。


近年はウォルマートやターゲットのようにネットで注文し店舗で受け取るようなネットとリアル店舗を融合させたサービスが売上を後押ししているケースが増えてきており、アマゾン一強の構図に変化が出てきています。


この関連の記事に関しては、後日詳しく取り上げたいと思います。


また、景気の先行きを占ううえで重要な先行指標のダウ運輸株平均は5日に8日間続落、運輸関連でも航空やトラック関連銘柄が足元で大きく崩れたことも不安材料になっています。
また、3月に入って米国の景況感を見る上での指数がいくつか発表されています


◆ 2月の米ISM非製造業景況指数:予想上回る伸び、景気の健全さ示唆(3/6 発表)
◆ 2018年12月の米建設支出:昨年12月は前月比0.6%減-予想外のマイナス(3/5 発表)
◆ 米消費者マインド指数:2月確定値は93.8-速報値から下方修正(3/2/ 発表)
◆ 米個人所得:1月は3年ぶり減少、予想外のマイナス-前月は急増(3/1 発表)
◆ 米ISM製造業景況指数:2年ぶり低水準、受注や生産が減速(3/2 発表)


ここ最近の株価の動きからー
2月20日頃よりS&P500種指数が2800ポイント手前で膠着しています。
膠着状態から今後の先行きを占ううえで、以前取り上げたフィボナッチ数列から「押し目」を予想してみました。


フィボナッチ数列の記事はこちら
今後のマーケット動向をS&P500指数から推測してみました 

フィボナッチ数列はプロの投資家が相場の転換点で先行きを見るための上昇トレンド中の「押し目」と、下降トレンド中の「戻し」を予測するために使われるテクニカルツールです。


下のグラフはS&P500種指数の直近チャートです


このチャートから、直近安値2346.58から直近の高値2816.88までの上昇幅470.3の最初のサポート/レジスタンスとしてフィボナッチ比率23.6%を掛け合わせると≒111.0となり、もし、この後下落に転じた場合の下値抵抗線は2705.88ポイントとなります。


この数値は、ゴールドマンサックスが推定した2019年の予想EPS 173ドルの15.6倍になります。


現在の株価はPER16.1倍ですから15.6倍はさほどの割高とはいえないと思います。


まあ、これは下落に転じた場合の一つの判断材料として気に留めておかれたらと思います。


次に今回の「テーマ」についてです。—
昨日から中国では「全人代」の開催が始まりました。


今年は、中国の経済動向が世界の景気に大きく影響を及ぼすとの専門家の見方が大勢になっています。


3月4日に全人代をむかえる中国関連の記事を投稿しましたので、ご覧になってください。



中国の今年の経済成長について4日の「日経プラス10」の中でこの話題を取り上げていたので、このニュースに関して深堀りをしてみました。


内容については、3月4日付けの日経新聞からの引用です。』


中国人民大学の向松祚教授は日本経済新聞の取材に応じ「2019年の中国経済の下押し圧力は非常に強い」と指摘した。主な一問一答は次の通り。


―2019年の中国経済をどうみますか。
「経済の減速もしくは下押し圧力は非常に大きい。1、2月の数値からもみてとれる。国内総生産(GDP)の成長率は前年比6.3%以下だろう。6.2%、6.1%も排除しない。18年10~12月の成長率は6.4%だったが、19年1~3月は6.4%を維持するのは難しいだろう」


―18年の中国経済はどう分析しますか。


「企業の状況からみると非常に良くなかった。最も大事なのは民間企業家の自信が大きな打撃を受けたこと。企業利益、資本市場なども、みなよくなかった。18年の社債の債務不履行はそれ以前の4年分の合計より多く、多くの企業が資金調達に苦労した」


「資本市場のひどさは皆が知っているが、同時に投資の伸びも大幅に減速し、社会消費(小売売上高)は弱く、輸出入も変動が非常に大きかった。もちろん米国との貿易戦争の影響もあるが、12月は輸出、輸入ともに大きなマイナスだった」



―18年11月に習近平(シー・ジンピン)国家主席が民間企業家を集めた座談会を開き、資金調達難の解決などを約束しました。企業家の自信は回復しましたか。


「浙江省や広東省など民間経済を代表する地域では少し良くなっている。座談会以後、すべての省、市が多くの政策を打ち出した。一部の政策はとても具体的で実際に効いている。少なくとも『公私合同経営』『企業の直接管理』などの心配は一時的に薄らいだ」


「誤ったか重すぎた民間企業への判決は正されたり軽くなったりしている。捕まった経営者が釈放されたり、没収された財産が戻ってきたりしていて、よいことだ。だが、それだけで大部分の企業家の自信は完全には戻らない。大部分の企業家は依然として大きな疑念を抱いている」


「本当に企業家の自信を回復させるには法治を真の意味で実行し、民間企業家の命と財産の安全を保証するしかない。法の前ですべての人が平等だと保証しなければならない。これがなければ、時間がたって指導者の発言が変われば企業家の自信もまた打撃を受ける」


「(『民間企業は表舞台から去るべきだ』など)昨年の一連の発言は高官どころか役人ですらない人がしたのに、企業家がなぜこれだけ怖がったのか。彼らが『これは為政者の意思かもしれない』と知っていたからだ」


―18年12月の講演で「非常に重要な機関が18年のGDP成長率は1.67%かマイナスと内部試算した」と発言しましたが、本当ですか。


「たしかにこの機関の研究員はこうした仕事をした。彼ら自身の方法で試算しており、彼らも発表していないので、私も誰だか言ってない。講演で引用したのは、彼らの試算が正しいと認めたわけでも受け入れたわけでもない。私は各種のルートから18年の中国経済の下押し圧力が大きかったと言いたかった」


「公的な数値からも裏づけられる。(中国に31ある省・直轄市・自治区のうち)18年は17年と比べて大部分の地区で成長率が減速し、23の地区が19年の成長率目標を下げた。私は18年、ある政府高官が『少なくとも10地区はマイナス成長だ』と言ったのを聞いた」


「企業利益、住民の可処分所得、工業生産などから逆算するとGDP成長率はかなり低い。一部の人は(貸し出しの伸び、電力使用量、鉄道貨物輸送量から算出する)『李克強(リー・クォーチャン)指数』から成長率を推計しており、彼らは18年の成長率は政府発表ほど高くないと考えている」


「18年の名目GDPは90兆元(約1500兆円)。理論的にはGDPは住民所得、企業利益、財政収入の合計だが、3つ足しても90兆元にはとても届かない。多くの統計数値が相互に矛盾しているから、政府が公表する数値を多くの人が疑う」


「もし18年のGDP成長率6.6%が正しければ、これほど多くの景気刺激策を打ち出す必要がないはずだ。世界のどこがこれほど大きいのにまだ6%以上成長しているだろうか。あわてて金融政策、財政政策をこんなに緩める必要などない。唯一の解釈は我々の経済成長率はそれほど高くないということだ」


―米中貿易戦争はどうなるとみていますか。


「中国経済が急減速した第1の原因は企業家の自信が失われたことだが、2つめの原因は貿易戦争だ。トランプ米大統領が2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に関税をかけるまで我々は判断を誤り(貿易戦争の影響を)見くびっていた」


「米中は全面的な合意に達する可能性は高くなく、覚書を交わす程度だろう。これは貿易戦争の終結を意味せず、長く続くだろう。米国は技術や中国企業の対米投資で絶え間なく新たな策を出すとみる。中国は厳しく準備する必要がある」


―いまどんな政策が最も必要と考えますか。


「18年10月から金融、財政、資本市場などの政策がすべて大きく変わった。19年の政策の核心は『穏』1字で表せる。個人的にはいまの需要管理政策だけではダメだとみている。経済を安定させて持続的に発展させるなら、構造改革が必須だ。率直に言って、第18期3中全会で決めた改革は多くが本当には実行されていない。これを本当に実行することこそが経済を安定させる長期的対策となる。金融や財政を緩めても少しは効くだろうが効果は大きくない」


―地方政府の債務問題をどうみますか。


「厳しく悩ましい問題だ。実は多くの地方政府はすでに金融的、技術的には破産状態にある。もちろん政府は破産できないが。中央経済工作会議でも地方のインフラ債券の増発を決めたので、地方政府はどんどん借金漬けになるだろう」


―1月の講演で(資産価格が急落する臨界点を意味する)「ミンスキー・モーメント」に言及しました。19年に到来する可能性はありますか。


「可能性は大きくないが、例えば1つの市場で局所的に起きる可能性はある。去年の株式市場も投資家がみな自信をなくすなどあてはまる」


―最大の市場である不動産はどうですか。


「不動産市場は非常に危険だ。もちろん我々は緩慢に平穏に調整することを望んでいるが、目標が達成できるかどうかは政策次第だ。ある日に投資家の先行き見通しが変われば、不動産市場にミンスキー・モーメントが訪れるかもしれない。皆が不動産を売りたくて、誰も買わない状況だ」


以上です。


取材記事をそのまま掲載しましたのでご参考ください。


私も、米国株へシフトするまでは中国株をメインで取引していましたが、当時から中国政府の情報には信用がないことは重々承知していましたが、それでも二桁の経済成長を続けていたので「まあ、いいや !」とリスクはあまり感じていませんでした。


しかし今は、その当時に比べると今は格段に中国に対する不信感やリスクは高くなっています。


今月は、他に英国のEU離脱合議の問題も控えており、どこで地雷か爆発するか予断を許しませんね。


今回も長い記事になってしまいましたが、
この記事が参考になったら、応援のプッシュをお願いします。

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